Home第3回 森田正康さん
国際人に求められるスキルとは?
森田正康さんについて
12 歳で渡米。UC Berkeley、ハーバード大学、ケンブリッジ大学、コロンビア大学、東京大学を経て現在、カリスマ組織『hitomedia』の代表を務める傍ら大学院で教鞭を振るっている。弊社大塚とは NPO 法人 教育支援協会の理事同士。
(敬称略)
大塚 | : | 「いきなりですが森田さんと私は 12 歳を境に正反対な方向に進んでいるんですよ。私は 12 歳まで アメリカ で教育を受け、以来日本で教育を受けました。森田さんは 12 歳まで日本で教育を受け、以来 アメリカ でずっと教育を受けました。現在年齢はほとんど変わりませんが 12 歳を境に正反対の方向に進み、結果として性格も考え方も何だか全く違う正反対な人間になってしまったような気がします。」 |
森田 | : | 「なにを。いきなり (笑)。そんなに違わないでしょう?」 |
大塚 | : | 「違う違う (笑)! とにかく私が一番驚かされるというよりも尊敬するのが、著名人や権力を持っている人とすぐに仲良くなるというか、全く動じず、ズカズカ心に入り込んで気を許させてしまう。会う人のスケールも大きければ話のスケールもいつも大きい。この間なんて『先週、インドネシアの国王に会ったんだ』とまるで田舎のおばあちゃんに会って来たように言うものだから『おいおいちょっと待てよ!』とびっくりしてしまいました (笑)。時間をかけて、じっくり人間関係を作っていくことしか出来ない私には本当に尊敬できるスキルです (笑)。」 |
森田 | : | 「高校時代、著名人を親に持つクラスメートが多く、そういう人たちと若い頃から接する機会がありましてね。話をどういう風に持っていたらいいかとか相手が何を求めているか等、自然と分かるようになったんですよ (笑)。」 |
大塚 | : | 「すごいスキルだと思いますよ! さて、森田さんは (株) アルクを始め、いくつもの会社で役員をやっていたり、神奈川県にある 5 歳で英検 2 級、7 歳で英検準 1 級を取らせる プリスクール の校長、京都情報大学院大学で教授、最近立て続けに本を出したり、マルチタスク (同時にいろんなことをやること) の名人として大活躍していますが、メインの仕事は何をやっているのか教えていただけますか?」 |
森田 | : | 「確かにいろいろなことをやっており、来月には『一気に 10 の仕事をこなす! マルチタスク・ワーキングのすすめ』という本も出しますが (笑)、主はヒトメディアという国内外にいるカリスマをメディアに出す会社の社長をやっています。」 |
大塚 | : | 「カリスマというと?」 |
森田 | : | 「例えばハーバード大学に在籍中の日本人学生や、東大の学生で特殊な能力を持っている人をメディアに出したりしたりしています。」 |
大塚 | : | 「教育界の芸能プロダクションみたいなこと?」 |
森田 | : | 「別に教育に限定しているわけではありません。5 月には世界的に有名な環境問題の専門家を日本に呼んでいます。ただ、私自身、教育の分野でずっとやってきたわけですし、国際人を育てることをライフワークにしているので必然に教育関係の人が多くなってしまいます。」 |
大塚 | : | 「森田さんは昨年『5 歳から始めるハーバード留学準備』という本を出しましたね。大変興味深く読ませていただきました。ここで国際人を育てたい想いを熱く語っていますね。本を読んで森田さんの生い立ちを詳しく知れば知るほど『この人、日本にいたら潰されていたな』と思いました (笑)。」 |
森田 | : | 「きっとろくでもない人間になっていたでしょうね (笑)。」 |
大塚 | : | 「きっと私みたいになっていたと思います (笑)。」 |
森田 | : | 「またまた (笑)。」 |
大塚 | : | 「さて、今回のテーマは『国際人に求められるスキル』ですが、まず英語力という観点では何を目標にすればいいのでしょうか?」 |
森田 | : | 「ちょうど昨日、英語でしゃべらナイトの収録があり、『激論! 英語の早期教育のウソ? ホント?』 (2008 年 3 月 25 日放送予定) という議題でこの話をしたのですが、まず言語を完全に話せる人が国際人という考え方は間違っていると思います。そもそも日本語だってドモるし、間違える。完璧な英語なんてまずありえない。これを分かった上できちんとした目標を設定して欲しいと思います。」 |
大塚 | : | 「目標設定の大切さは以前インタビューしました ロッシェル さんもおっしゃっていました。日本人の多くは達成不可能な目標を立てていると。」 |
森田 | : | 「英語はあくまでもコミュニケーションツールですのでそれ自体を習得することを目標にしても意味がありません。何を乗せるかが大事であり、突き詰めれば英語云々という問題ではなく裏にきちんとした教養があるかどうかという問題だと思います。」 |
大塚 | : | 「教養というと?」 |
森田 | : | 「自分が話したいことの内容をきちん知っているということです。」 |
大塚 | : | 「自分の話したい内容をきちんと知る? 例えばどういうことですか?」 |
森田 | : | 「例えばビール関して製造から販売まですごい詳しい人がいて、海外のビールの専門家に会うとします。するとどんなにブロークンな英語を話しても話は通じるし、盛り上がるし、認められる。英語が大したことがなくても国際的トップレベルなビール会議が出来るんです。」 |
大塚 | : | 「なるほど。きちんとした専門分野をもっていなければダメだということね。」 |
森田 | : | 「結局日本人の英語力が上がっていかないのは教養がない人が多いからだと思います。」 |
大塚 | : | 「ちょっとそれは言いすぎでしょう (笑)。」 |
森田 | : | 「失礼しました。確かにちょっと言い過ぎました。。。専門分野までとは言わないまでもまず話したいこと、好きなことを見つけること。それを相手に伝えたい、議論を通じて知識を深めていきたいと思ったとき、国際的なコミュニケーションツールとして英語がはじめて出てくるわけです。」 |
大塚 | : | 「なるほど。」 |
森田 | : | 「結局、英語というプラットフォームの上に教養が乗っているのではなくて、教養というプラットフォームの中に英語という言語が乗っているということを知って欲しいです。」 |
大塚 | : | 「確かに!」 |
森田 | : | 「結局コミュニケーションをとろうとした時、ブロークンだろうがなかろうが、教養が間違いなく後押ししてくれます。」 |
大塚 | : | 「さっきから森田さんが使う『教養』という言葉に違和感を感じます。日本で『教養』というと大抵の場合物事を広く全般的に良く知っているということだと思います。森田さんが言っている『教養』とはその正反対で『一つの分野で秀でた知識・能力を持っている』ということでしょう。」 |
森田 | : | 「なるほど。この『教養』の定義の違いが国際人になりきれない日本人が多い原因かもしれませんね。日本では『頭がいい』と思われるには何でも良く知っていなければならない。欧米の国々の考え方は違うんですよね。一つの分野でも秀でた能力があるのであれば尊敬され、重宝されます。」 |
大塚 | : | 「それはすごい感じます。私は 12 歳のときに アメリカ から日本に帰ってきて、本当によくバカにされました。『こいつ、本当にモノを知らないんだよ。苫小牧という漢字読めないし、大阪がどこにあるのか分からない。本当にバカでさ。。。』な~んて今でも友人によく言われます (笑)。」 |
森田 | : | 「それはひどい (笑)。」 |
大塚 | : | 「さすがにもう慣れましたが、帰国当初ものすごく違和感を感じました。それは知っているか知らないかだけの問題であって、一回知ってしまえばさすがにもう間違えません。それをいつまでたっても言われるこの国はやっぱり変だと思いますよ (笑)。それだと恐くて失敗が出来ない。ウチの先生は『語学を学ぶ最も近道は失敗を恐れないこと』といっていますが、これは日本で育った人には非常に難しいと思います。ずっと『失敗 / 知らないこと = 恥ずかしい / 頭が悪い』と教えられてきたわけでしょう。それがいきなり大人になって『どんどん失敗しなさい』といわれても出来るはずがない。」 |
森田 | : | 「そうなんですよね。全て出来るようにするという教育もあっていいと思いますが、短所に目をつぶり長所を伸ばすことに特化した教育という選択肢もあっていいのではないかと思います。結局今の日本の教育にはそういう選択肢はない。こういう単一化された教育こそ、国際人が育たない一番の原因だと思います。」 |
大塚 | : | 「私は日本で全くダメだった子供が海外にいって自信を持って帰ってきて大活躍している人を何人も知っています。逆に アメリカ にいたときは『これほど大物にであったことはない』と思っていた人が日本に帰ってきて日本の教育を受けて萎縮しちゃったという人も沢山知っています。」 |
森田 | : | 「私はそういう子供たちに、『日本でダメだからといって萎縮する必要はない。海外という選択肢があるんだよ』とヒトメディアという会社を通じて発信していきたいし、具体的に 4 月から始める海外大学の入学塾を通じて支援していきたいと思っています。」 |
大塚 | : | 「素晴らしいですね。12 歳で日本に帰ってきた私と 12 歳で日本を飛び出した森田さんが同じ国際人を育てるという目標を持っているのは何か運命的なものを感じます。今後いろいろとコラボレーションしていきたいものですね。」 |
森田 | : | 「もちろんやりましょう!」 |
大塚 | : | 「今日はありがとうございました。」 |